コルセットを締め付けた覚えはないのに、肌にはうっすらとその跡が残っていた。消したいと思ったけれど、すぐにはどうにもならない。手でこすった跡が付けば、それは一層生々しく恥ずかしい気がしてあきらめた。

すごく急いだつもりだけれど、どのくらい経ったか自分ではよくわからない。震える手でローブを纏うと、ふわふわした足取りでまた隣室へ出て行った。二人は待ちかねていたのかもしれない。それぞれほかのキャンバスに向かっていた。カミーユは彼らの顔をまともに見られないまま、ソファに腰を下ろした。

「ローブは取って、そこに両足を伸ばして座って。……右足を軽く折って、左は伸ばしたまま。腕は右膝の上に軽く重ねて。……左腕はもっと高く」

モネはたまりかねたように裸のカミーユに近づくと、左腕の位置を直した。彼が振り向くとバジールがうなずく。それでいいというサインなのだろう。画家の卵二人は、しばらく思い思いの場所を探した。思い通りの位置にイーゼルを定めると、黙ってデッサンを始めた。カミーユの心臓は爆発しそうだった。何でもないことなんだ。この二人にとって女の子の裸なんて、それを描くことなんて……。

それは何度も繰り返し覚悟してきたことだった。何でもないことだからこそポーズを取ってもいいと思った。画家が、その卵が裸体デッサンをする。昨日までの自分だって、そんなことに驚きはしなかった。当たり前と思ってきたことを、今は信じられない思いだった。

もしかしたら……私の裸を見てがっかりしたかしら。二人の様子からはどんな感情も読み取れない。もう逃げて帰りたいとも思った。この部屋の中でドキドキしているのは私だけ─。何でもない。そう言い聞かせても、心臓はなかなか静まらなかった。

「あごが下がってる。窓の方を見て」

モネが厳しい口調で言った。