第1章「 伝わる」映像表現

8.映像表現の4原則

論理的思考を可能にする原理原則

ここからは本書の本題である映像表現の4に関して説明をしていきます。

総合芸術と呼ばれる映像は、さまざまな要素が複雑に積み重なってできています。よほどの天才を除き「なんとなく」の感覚で最良の「伝わる表現」にたどり着けることはほとんどありません。映像は感性以上に論理的思考力が求められるからです。

初心者の多くは表現に対する原理原則を学ばずに、目で見たものを真似して感性の赴くままに演出をしています。これでは持ち前のセンスに頼るしかなく、多少経験を積んだとしてもすぐに限界に達してしまいます。

映像理論は複雑ですが、原理原則を理解して枠組みに当てはめることができれば難しくありません。曖昧なイメージの記号化、整理、組み立てが映像表現の要といえるでしょう。

本書が推奨する映像表現の枠組みとは「リズムメイク」「情報認知」「感情誘導」「ストーリーテリング」の4つです。

リズムメイク    = 視聴意欲を持続させる映像の土台
情報認知      =「伝えたいこと」を直接的に伝える
感情誘導      = 抱かせたい感情に導く
ストーリーテリング =「伝えたいこと」を物語を通して伝える

「情報認知」と「ストーリーテリング」は、主に思考に訴えかける役割をもちます。
「リズムメイク」と「感情誘導」は、主に感情に訴えかける役割をもちます。
すべての映像表現は例外なく、この4原則のバランス調整で成り立っています。

よい映像表現とは思考と感情を揺さぶる「伝わる」映像

  1. 感動とともに得た知識は長く記憶に残る
  2. 「伝えたいこと」と「抱かせたい感情」の言語化が重要
  3. 「伝えたいこと」は「情報」と「メッセージ」に分けられる
  4. 映像表現は「情動喚起」と「感情移入」のくり返し
  5. すべての映像表現は「リズムメイク」「情報認知」「感情誘導」「ストーリーテリング」の4 原則で成り立っている
※本記事は、2020年5月刊行の書籍『伝わる映像 感情を揺さぶる映像表現のしくみ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。