第Ⅱ部 人間と社会における技術の役割

Ⅱ-1 社会における技術の役割

6. 災害から守る

災害から土地、建物、そして何よりも人の命を守ることは、技術の重要な役割の一つです。主なものを図表1に示します。

写真を拡大 [図表1]災害から守る

まず、火災は頻繁に起こる災害です。防火建築や火災報知器、スプリンクラー、消防設備など、火災への対応に常に追われています。

大雨による浸水、河川の氾濫は人類が文明を築いた当初からの大問題であり、河川の氾濫を防ぐための堤防の建設・維持は現代においても重要な課題です。近年は局地的な集中豪雨「ゲリラ豪雨」が頻繁に発生し、局地的な被害が多くなっています。日本にはたくさんの雷が発生します。日本海側では例年大雪に見舞われます。

私の住んでいる金沢では、雪が降り始めるときに大気が不安定になって、頻繁に雷が発生します。こうした大雪や雷による被害を防ぐのも技術の役割です。

日本には多くの台風が通過します。近年、地球温暖化の影響もあって台風の威力が増しているように思われます。強風によって木が倒れ、橋が崩壊し、火災が広がるという災害や、竜巻による被害も増えています。

日本にはたくさんの火山があります。これは各地に温泉をもたらすという恵みとともに、火山の噴火による災害をもたらしています。こうした噴火を予知したり、噴火からの被害を防いだりするのも技術の重要な課題です。

そして、日本は地震大国です。近年では、1995年1月17日の阪神淡路大震災が、地震のすさまじさを見せつけました。高速道路もビルも倒れ、ビルの一階が押しつぶされ、大規模な火災が発生しました。地震によって電気、水道、ガスが遮断され、通信もパニックになって情報が遮断され、まったくの暗黒世界になりました。

阪神淡路大震災が発生したのは、まだ夜が明けない早朝でした。私はその日、関東で朝のニュースを見ましたが、現地からの情報が遮断され、何が起こっているのかわからない様子が報道され、その後、上空のヘリコプターから見た映像で高速道路の倒壊やビルの倒壊、各地で発生している火災が伝えられ、驚かされました。

現地からの情報が入らず、外から見た映像だけが伝わってくるという、これが現代なのかと疑うような光景でした。このような震災にどう対処していくのか、いつ大地震が起きてもおかしくない日本においては、とても重要な課題です。

地震に引き続いて、津波です。2011年3月11日の東日本大震災では、とても大きな津波が発生しました。三陸地方では過去に頻繁に津波が発生し、防潮堤も作られていましたが、東日本大震災の津波はこれまでを上回る大規模な津波でした。

津波によって多くの人、家屋、自動車が流されたのは私たちの記憶に強烈に残っています。東北の復興なくして日本の復興はないというのが、この先も日本が抱える大きな使命でもあると思います。

地震や大雨と関連しますが、がけ崩れや地盤の液状化、地盤沈下などの災害があります。日本は山が多く、斜面がとても多い国です。がけのそばにある家も大変多い状況です。山崩れや地盤の崩れに対する防災設備も、技術の大きな課題です。

こうして見ると日本はまさに「災害大国」ですが、数々の災害と向き合いながら災害を乗り越える、あるいは災害を減らす技術の開発や工夫を常にしてきているわけです。

※本記事は、2019年4月刊行の書籍『人と技術の社会責任』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。