私は3年ほど、家事代行とベビーシッターのバイトを経験したことがある。その時出会った若いお母さん達の奮闘ぶりは涙ぐましいものだった。授乳しながらお化粧し、同時進行で朝ご飯を食べるお母さん。その横でもう一人の娘の髪を結って幼稚園のお支度も手伝ってあげる。それこそ「千手観音菩薩」のようで、「為せば成るものなんだな」と感心した。

夜遅く帰るお母さんに代わり、初対面の私に喜んで風呂に入れてもらう幼稚園児。聞けばご近所におじいちゃんおばあちゃんが住んでいるという。今の祖父母世代は、孫育てには消極的な人も多い。私だって孫育てを丸投げされるのなんて真っ平ごめんだ。

「孫は来ても嬉しいし帰ってくれても嬉しい」と、さっぱりした付き合いを望む人が増えたから、シッターさんが活躍するのだ。

お金で解決した方が良い場合もある。血のつながりよりも仕事上の付き合いの方が割り切れる分かえって楽だ。孫もよその子も、可愛い子は可愛いし、逆もしかり。どちらにしても大差ない。結婚し子供を産み育て、仕事も続けキャリアを積む。30年前の私たちには難しかったことが今や特別なことではなくなった。

その生き方を、当の女性たちが望んで選ぶのならば、それは喜ばしいことだ。しかしそうでないならば、産み育て働く女性が、多くの選択肢の中から納得できるものを選ぶことこそが肝心だ。それが可能な社会であってほしいと思う。娘たちよ、誰かの押し付けではない自分に合った女の人生選びなさい。ママは手も口も出さずに遠目で応援してますね。

良妻賢母りょうさいけんぼ 夫にとっては良い妻であり、子どもにとっては賢明な母であるような女性

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『ママ、遺書かきました』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。