次に、会社の経営数字が読めない社労士が多いことだが、そもそも社会保険労務士試験に貸借対照表や損益計算書や決算書などに関する問題はない。

しかし、経営者は事業経営においての人員配置や適性人員、それに伴う人件費の数値をみて、どのような改善をすることにより経営の安定を目指すことができるのか助言を欲している。経営資源である「人」つまり人件費は、一般管理経費の半分以上を占めており、安価な人件費でより効率的な業務を遂行してくれると、利益が生まれる。

しかし一方で、安価すぎる人件費を求めると人材が集まらず、人件費に高価を求めると人件費過多となり、赤字倒産に陥ってしまう。適正人員と数値は各々の会社によって異なるが、それを模索した上で判断を求められるのが、コンサルタントとして非常に難しいところである。

しかし、経営者はそこに助言を欲するのである。上記の2点について、コンサル業務を始めたのが「有限会社レイバー」である。この頃になると、飛び込み営業は基本的に行わなくなり、代わってセミナー営業を行うようになった。

セミナー営業とは、経営者が現在注目すべき課題を取り上げて、2時間程度講演のようなものをすることである。その後、さらに詳細に話が聞きたいと言われた場合のみ、訪問し、面談をするといった仕組みである。

このセミナー営業は、現在も継続しており、毎月1回程度コンスタントに実施している。当然行えない月もあったが、この手法に切り替えてから小さな町の山奥に事務所を構えながら、京都・大阪市内・神戸・滋賀・東京と顧問先が広がった。顧問先が広がると、仕事量も多くなり、その業務を行う人の確保と業務スペースが必要となり、徐々に業務規模が大きくなっていった。

そして会社設立からおよそ1年後の平成11年にようやく、初めてパートの従業員を雇用することになり、開業当初の念願が少し達成できた。