末娘に表紙のイラストを依頼すると、

「OK! やばいじゃん。朱里イラストレーターデビューしちゃう!?」

大学受験が終わったら創作活動開始。気に入った四字熟語も習字で書いてくれるという。芸は身を助く。授業中暇つぶしに始めたイラストの腕前が日の目を見られてよかった。

母もことのほか喜んでくれている。習字を頼むと、「無理よ~、嫌よ~」と言いながら孫にお手本を頼んでいる。母がいそいそ乗り気でいてくれることが何より嬉しい。

夫は、私が書いている横で「ママはいっぱい書けて凄いね~」とのんきなことを言っている。たまに原稿を読んでは「点の位置がおかしいよ。ゃとゅが間違えているよ」などと、いらない校正をするだけで、内容はスルーしてくれるから助かる。

息子が帰省した時に原稿を渡したら、スマホに何やら打ち込みながら読んでいる。「ながら読みかいな」と思いきや、一つ一つに講評を書いてくれていた。改訂版を渡すと、またダメ出しされて、なかなかの鬼編集者ぶり。

それを長女に話したら「ひではママそっくりだね」と大笑いされた。彼女の注文は「私のことは書かないでね。本屋に並ぶの楽しみにしてるよ」。

次女は嫌がるかと思ったのに何かと応援してくれる。私にUSBの使い方も教えてくれた。

本の出版を誰より楽しみにしてくれている友人のリカちゃんは「『サラダ記念日』みたいに文中から題名取りなよ」とアドバイスをくれた。

マスコミ業界で働くノンちゃんからは「出版を甘く見るな」と辛らつなご意見。みんなの励ましとお叱りを力に変えて、久しぶりの「お仕事」を自宅オフィスでやっている。

「書くのは良いよ。否定しない。でもそれを仕事と言うな」と、またノンから叱られそう。仕事は一致団結、共同作業。みんなの想いが一冊の本になる。

一致団結いっちだんけつ 組織の人々が特定の目的を達成するために、心を一つにして協力すること

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『ママ、遺書かきました』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。