二月十四日(木)

今日は、バレンタインデーだよね。ウイスキー入りのチョコを毎年もらってたことが懐かしいです。感謝してます。

景子ちゃんがいなくなってからは、本当に最悪の毎日です。何の夢も楽しみも持てない日々です。夫婦ってなんだろうと、いっぱい考えました。当たり前のことだけど、妻の景子は、生涯最愛の人だと思いました。反省して、これからの人生をもう一度、景子ちゃんと一緒に過ごしていきたいです。

二月十六日(土)

苦しくて行き詰まってしまいました。もうだめかもしれない。辛いです。おやすみ。

二月十八日(月)

もうあかんかもしれん。それでも景子ちゃんのこと信じてる。帰ってきてくれると信じてる。景子を信じてる。そうでないと生きていても仕方ないから信じてる。

いろんなこと言ったけど、自分にとって景子は最愛の妻です。もう何をする気力もなくなってしまいました。辛いです。

自分勝手なことばかり言って悪かった。

わがままなことばかり言ってすまなかった。

反省してます、後悔してます、許してください、ごめんなさい。

寂しい、悲しい、辛い、苦しい、疲れた、会いたい、話したい、信じてる。

今度は絶対に大丈夫だから、一緒に暮らそう、やり直そう……。

景子ちゃんしかいない……。

信じてください、お願いします……。

――って……。こんな同じような内容のメールを、多い日は複数回、ほとんど毎日送ってきて、それで私の気持ちが変わるとでも思っているんだろうか。読むほどになさけなくて、うんざりしてくる。でも、気持ちは少し晴れてきたかも。

わがままを

りかいするまで

じかんがかかる

わがままと

きづいたあなたは

すばらしい

私はこの日、離婚の意思があることを孝雄にはっきりと伝えるため、白紙の離婚届を入れた封筒をポストに投函した。もちろん、こちらの住所がわからないように、神奈川の弁護士事務所を返信先としている。

※本記事は、2021年4月刊行の書籍『夫 失格』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。