・作業と健康に関心があります

健康に関わる仕事や研究分野は世の中に数えられないほどあります。その中で、作業と健康に関わっていますと公言しているのが、作業療法と作業科学です。

作業療法は地域に暮らす様々な人々の健康のために日常生活の作業ができるように支援しています。世界作業療法士連盟(www.wfot.org)も日本作業療法士協会(www.jaot.or.jp)もその理念を「人々の健康、ウェルビーイングを促すためには、人々が日常的な活動や地域に参加することが重要である」としています。

作業科学は人々の健康に貢献するため、作業を研究し、作業について知識、理論を産生します(Yerxa他,1990)。

では、どのようにしたら健康と日常の作業の関係を理解できるでしょう? その関係に納得できるでしょう? 

・作業と健康を可視化する

我々が日常的にしていること(作業)と健康やウェルビーイング(良い状態)が相互に影響し合っていることを否定する人はいないと思いますが、その関係は複雑で、はっきり見えにくいところが理解を困難にしています。

この捉えどころのなさを克服するためには、作業と健康の関係を可視化する工夫が必要です。「作業的写真」プロジェクトでは、我々の日常の作業を切り取って表現する写真の力と作業科学から学んだ作業の知識・考え方を使って可視化を試みます。

メリハリをつけて日常生活の作業と健康の関係を考えるために、作業科学の考え方を理論的基盤に使います。作業科学が研究を通して深めてきた「作業の形態、作業の機能、作業の意味」という視点(Larson,Wood&Clark,2003;Clark,Wood,&Larson,1998)を使って、写真の作業と健康を可視化することによって、作業と健康は考えやすくなります。

作業的写真はその機会を提供します。理論的基盤とする作業科学とは、簡単に言うと、作業的存在としての人間の理解、人間の作業の効果についての知識・理論を産生することを目的に、我々人間の生きることに関わる学問分野である文化人類学、哲学、社会学、心理学、地理学、老年学、脳科学など、多様な学問分野からの知識・概念を活用して研究する学問です。

人間の作業(毎日の生活でしていること、してきたこと)を多様な側面から研究することによって、身体的機能だけでなく、社会文化的な側面から理解を深めることが可能になります。その結果は、病気や障害、災害などで損なわれた生活を立て直そうとする人々を援助する時に役に立つと考えられます(Zemke&Clark,1996)。

つまり、作業科学は作業療法士が人々の健康・ウェルビーイングを促進するために貢献するのです(Zemke&Clark,1996;Clark&Larson,1993;Yerxa,1993;Yerxa他,1990)。

※本記事は、2021年5月刊行の書籍『「作業的写真」プロジェクトとは 作業を基盤に、我々の健康と幸福を考える』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。