そしてもう一つの謎、それは味覚! アルコール、お酒の味を「うまいっ」と感じる彼らの味覚が本当に理解できない。彼らと私ら下戸の舌の構造って根本的に違うのだろうか。彼らが必ず口にする「とりあえず、ビール!!」

いったい何がどうなってとりあえずなんだといつもビールを運びながら思うのだが、あの苦くまずい液体を、どう舌でころがしゃうまいと感じるのか。

だったら彼らは、苦い粉薬を何とも思わず口にできるのだろうか。そう言えば、うちの珍獣も、毎日飲む、数ツブの玉の薬を、かみくだいて飲みほしている。せっかく玉にして苦味がないように錠剤にしてあるのに、わざわざ苦くなるようかみくだくのである。

私はだんぜん玉の薬、錠剤派です! それにあの色、彼らは口にするたび、連想しないのか? 花見などで紙コップにそそがれて一定時間過ぎた気の抜けたビールなぞ、泡といい私には検尿コップにしか見えない。

日本酒ときたら、利き酒の品評会があるが、よく耳にする、「豊潤な香り」豊潤ってこういう時に使う言葉なのか、私が思うには豊潤って、バラ園の中とか、飲み物だったら断然お茶でしょうが、新茶の品評会に使われる言葉でしょうが、と思うのだけど、彼らは何も疑問を感じず、使っているのだろうか。

それともそもそも彼らと私ら下戸の身体のしくみが根本的に違うのだろうか。できたらその道に長けている方に教えてもらいたいものだ。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『居酒屋おばさんの下戸ですけど何か?』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。