社労士業を含む全ての士業は自分のスキルだけで勝負する業種である。営業・主たる社労士業・会計などをすべて1人で行わなければならない。仕事の内容は士業それぞれ異なるが、単発取引と継続取引の2種類の取引が存在する。

例えば、単発取引の場合、就業規則の作成だけお願いしたいという依頼があったとする。作成には相当の期間を要するが成果としては1つであり、完成と報酬を引き換えに依頼は終了する。助成金の申請だけお願いしたいという依頼も同様である。

これに対し継続取引とは、企業と顧問契約を交わし、労務管理全般を管理することによって、継続的に顧問料の受け取りがあり、毎月一定の固定収入を得られるということである。

社労士の業務は経営に携わる従業員の労働関係法令に基づく各種手続き代行代理である。士業の中でも個人または会社(経営者)と反復継続して取引が発生する士業は弁護士・税理士・社労士が該当する。

この3士業は顧問契約という継続取引ができるといった特徴があり、顧問契約先を確保することによって、毎月一定の固定収入が決まる。

しかし、この顧問契約に至るまでのプロセスは、非常に時間と経費、精神力を使う。社労士は、「会社経営における労務管理の専門家であり、労働関係諸法令に関する法律を遵守しつつ、顧問企業の経営の安定・向上とそこに携わる従業員の福祉の向上に寄与すること」を業務として対価を得る士業なのである。

顧問料を毎月得るためには顧問契約を結んでもらうことのできる会社を掴まなければならない。しかし、これには営業能力が試され、至難の業だった……。

私は、毎日1日あたり30件相当の飛び込み営業を繰り返し行った。他の社労士事務所での就業経験や実績がないため、今後顧問先になりうる会社や経営者に認知してもらうことが出来なかった。

また営業を行うことは初めてで、所謂「営業ノウハウ」を持っていなかった。そのため、新入社員さながら来る日も来る日も飛び込み営業を行い、名前を知ってもらうことから始まった。しかし、なかなか話を聞いてもらうことができず、怒鳴られて追い出されることも数知れずの日々が続いた。

※本記事は、2021年5月刊行の書籍『無いない尽くしの社労士人生 その将来に描くモノ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。