そして、私の母親を含めた3人で話が始まった。最初に母親が、元夫を見つめながら質問をした。

「赤羽さん、あなたは娘に子供はいらないと言った後で暴力をふるったそうですね。その訳を説明してください」

「お義母さんすいません。自分も興奮して、言ってはいけない事およびやってはいけない事をしてしまいました」

そう言ったあと、頭を下げて何も話さない元夫を見ながら母親は話を続けた。

「女性が子供を産む時は全員、自分の命より子供の命が無事に誕生できるように、さまざまな苦痛に対して頑張るものなのです。今回は、娘がまだ体験したことが無いさまざまな苦痛があるのを普通なら分かるはずなのに、あなたは、娘に言葉で精神的苦痛を与えて、暴力で肉体的苦痛を与えてしまっている。私に謝る前に、娘と現在おなかの中にいる将来の我が子に対して今、ここではっきりと謝りなさい!」

あまり自分の感情を表現しない母親が、ものすごい口調で元夫を叱った。それを聞いた元夫は、私の方に向かってから謝った。

「ひろみ、そしておなかの我が子よ。本当に申し訳なかった」

そう言って10秒以上、頭を下げた元夫を見てから母親が話を続けた。

「ひろみ、あとは夫婦で話し合う事があれば、今のうちに話し合いなさい」

そう言って、そのあとは私達の話し合いを黙って聞いていた。そして話し合いの結果、元夫のいるアパートに私が戻る事になったのだが、再び今回のような家庭内暴力をするようなことがあれば、私から離婚に向けて手続きをさせてもらう条件を提示して、その時点では元夫はそれを承諾した。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『娘からの相続および愛人と息子の相続の結末』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。