2014年にIPCC第五次評価報告書が公表されました。

将来の予測では、これまでの気温上昇に加え、今世紀末までに0.3~4.8度上昇する可能性が高いとされました。

気温上昇が、前回の6.4度から4.8度となったのは、極端な将来像をシミュレーションから除外するなどしたためとのことでした。

最大4.8度の気温上昇なら、生物や森林への被害が甚大になる恐れがあるとのことでした。

温室効果ガスがこのまま増えた場合、今世紀末の海の水位上昇は最大82センチと予測し、海面上昇に伴う浸食などによって沿岸の土地が失われ、今世紀末までに移住が必要になる人数は数億人になると予測していました。

また、経済的影響では、世界の平均気温が産業革命前と比べて2.5度上昇すると、0.2~2%の所得が失われる可能性がある。貧困の拡大などによって、紛争のリスクが高まるとも指摘していました。

気温上昇に伴い高温障害などが発生して農産物の生産量は、毎年大きく変動し、10年単位でみると最大2%減産する。

一方で人口増を背景に食糧需要は10年当たり14%増えるため、供給不足や価格高騰を招き、貧困率の高い熱帯の国々では特に深刻な食糧難に陥るおそれがあるとしていました。

水産物については、温暖化で生息域が変わり、今世紀半ばまでは、中高緯度では種の多様性が豊かになるが、熱帯域では貧しくなる。

温暖化がハイスピードで進むと、今世紀末には世界的な漁獲量の減少が見込まれるとしていました。

※本記事は、2021年5月刊行の書籍『「グローバル・サンシャイン計画」で防ぐ劇症型地球温暖化』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。