今回の特別給付金10万円だってただでもらえるわけではなく、いつかは国民にはね返ってくることを誰も言わない。財政とは国民が自らの所得の一部を公共サービスに回しているものだ。

このことを曖昧にして国際的に最低水準の税負担のまま赤字財政を続けたツケが、国際的にも歴史的にも最悪の政府債務(昨年度末1115兆円)となっている。

いつの時代も負担増は不人気策である。それを政治家が声高に唱えるには勇気がいるが、国民もそろそろ目が覚めないといけない。

国も言いにくいことを言おう。国民もきちんと聞く耳を持とう。筆者が提案するプロジェクトは、インフラの劣化と自然災害増加という逆風を逆手に取るものである。

上手く進めば、ニュータウンと言われていたところが再び活況を呈し、中には人が羨むスマートシティになるところも出てくるかも知れない。

そうなると国民の多くがそういう生活に憧れ、新々三種の神器を持ちたくなる。

それは新しいテクノロジーにもとづく蓄電つきのソーラー発電、自動運転機能をもつEV、家事支援ロボットかも知れないし、他のものになるのかも知れない。

しかしそれにより新しい商品の機能がどんどん向上し、それを買いたいという夢を皆がもつ。そうなることを期待するのである。

昭和の後半、高度成長期は、来年はもっと良くなる、両親よりも豊かになれる、というような夢があった。

平成にはそれがなかった。令和も再び夢が持てる時代になってほしい。いろいろと山積する問題をうまく片付ければそうなるかも知れない。

不人気でもなんでも、先送りはやめよう。きちんとやるべきことをやろう。逆風ではあるが風が吹きはじめたのである。うまく操船すれば船は先に進む。

そのうちにまた「つき」が戻って来て順風に変わるかも知れないのだ。

※本記事は、2021年2月刊行の書籍『自然災害と大移住』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。