日本の国力がかなり落ちていることは、2000年にはノルウェー、スイスに次いで世界で3位だった1人当たりGNI(国民総所得)が2017年には22位に落ちたことで端的に表れている。

それ以外の指標からも国力が落ちていることを示すには枚挙に暇がない(図1)。

[図1]国民1人当たりGNI国別推移

さらに日本の戦略産業と言われてきたものがひとつずつ他国の後塵を拝すようになってきている。かつては世界の最先端を走っていた通信技術の分野でも、5G化に向けての基地局用の機器などほとんど蚊帳(かや)の外と言っても良いくらいだ。

中国のファーウェイのほか、スウェーデンのエリクソンやフィンランドのノキアなど国の戦略産業を担う企業が占めている。筆者がサラリーマンになりたての頃コンピューターの分野で、当時の通産省が国産メーカーを保護育成し日本における米国IBMの独占を防いだ。

日本IBMに勤めていた筆者には、国の資金援助とリーダーシップの凄さを思い知らされたものだが、逆に今でもそのくらいのことをすれば、戦略産業のいくつかを残すことができたのではないかと思う。

※本記事は、2021年2月刊行の書籍『自然災害と大移住』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。