六月二十九日(金)

夕方五時頃、専門学校から帰ってきた佳奈美が、相談があると言うので聞いてみると……。

「学校やめたいんだけど……」

友だちとはうまくいっているが、授業がどうしてもつまらないとのこと。

「やっぱり、自分に合ってないんじゃないかって思う……授業料、無駄にしちゃって悪いんだけど……」

どうしたものかと思いながら、それからしばらく話し合ってみたのだが、佳奈美の学校をやめたいという気持ちは変えられそうにない。夫に相談しようにも、今のような状況では、どう切り出せばよいものやら……。

結局、私は、佳奈美を説得するのは難しいと考え、その場で彼女の気持ちを受け入れ、退学することを了承したのだった。この日、孝雄は明け方に帰ってきた。

朝七時頃、私が布団をしまおうと、音を立てないようにして寝室に入ると、まだ鼾(いびき)をかいて寝ていた。すかさず夫の手帳を開いて、来月のスケジュールが書かれたページをパシャリ。「××(もちろん女性の名前)の誕生日」とか、「○○(これももちろん女性の名前)と花火大会」とか、デートの予定がいろいろ書きこまれていた。

七月二日(月)

「今日仕事か?」と聞かれる。軽くうなずくと、「お気楽、ご気楽」と言い残して仕事に出かけていった。帰ってきたのは午前二時を回ってからだった。

スケジュールでは、この後ふたたび出勤して金曜日まで出張となっている。

※本記事は、2021年4月刊行の書籍『夫 失格』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。