様子は聞こえていた。ツネオがNPO法人代表ハネダイツキを抱き込んでいることを。まあ、そのためにNPOを臨時につくったのだが。

「章設計が万葉園原ふれあい館の前に建てる案なら、S設計に秀二さんの田んぼに建てる案を計画させていると聞こえてきましたよ」

「いやそうじゃない。ハネダは資料館のことをうまく進めるためで、いろんな団体の意見があった方がいいじゃないか。設計はあれでいいのだし、場所だけの問題だから配置図だけでいいから、なんとかお願いできんか」

「この場所は地形も範囲も違うので、測量から始めないと計画できません。ここと言われるのなら決定事項としてください」

「わかった。それでいいから、なるべく早く書いてもらえないか」

ツネオは事前に熊谷秀二(父の従兄弟)と話を決めていた。ツネオは

「売ってくれ」

と言ったようだが、秀二は、

「貸すのであれば」

と了解していた。

※本記事は、2021年2月刊行の書籍『空模様』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。