第2章 HACCPは、今

(3)HACCPグローバルスタンダート

(HACCP支援法・義務化法案/厚生労働省)

④JFS規格を利用する組織

JFS規格は、エコアも策定に協力し、JFS―A/B監査会社として認定され、期待すると同時に普及と拡大に取り組んでいます。2017年より、農林水産省補助事業として、「公開JFS講習」を実施していますが、ここで、そのJFS規格を利用する組織の概要を説明します。

・JFS―C規格を選択する組織
JFS―C規格は、食品安全マネジメントの国際的な要求をGFSIベンチマークレベルで証明。この規格を導入する組織には、大量製造・広範囲流通などの大きな規模や輸出、高度な顧客要求、組織としての向上心が高い組織が選択することが予想されています。

・JFS―A規格、JFS―B規格を選択する組織
JFS―A規格は、GMPベースで、適正製造規範管理になります。JFS―B規格では、HACCP(不良品の出荷を未然に防ぐことができるシステム)ベースになります。これらの規格を導入する組織は、基礎衛生レベルの見直しやHACCPの導入を段階的に行い、自組織における食品安全の土台をJFS―A規格/JFS―B規格により構築し、適合証明プログラムによる透明性や継続的な改善に取り組む中小規模の組織が選択することが予想されています。

⑤日本国内の利用規格とCODEXHACCP

現在、日本国内の利用規格には、ここまでに触れてきたように、厚生労働省の食品衛生法改定による「管理運営基準」、農林水産省の日本発の「食品安全管理規格」の策定、自治体による「自治体HACCPの普及」がありますが、CODEX(コーデックス:食品の国際規格)のHACCP(不良品の出荷を未然に防ぐことができるシステム)が全ての原点になっています。

CODEXのHACCPが原点となっている主なものとしては、次のような項目が挙げられます。

・総合衛生管理製造過程(廃止)
・対米/EU輸出水産施設承認制度
・HACCP義務化(HACCP型管理運営基準)
・ISO22000:2005
・自治体HACCP

・JFS規格について
①日本発の「食品安全管理規格」JFS―Cについて
JFS―Cは、国内では審査登録を開始しました。それにより、企業取引基準と国家基準が連動しつつあります。しかし、アジアでは、GFSIに承認された食品安全基準がありません。

JFS―Cは、初のGFSI承認スキームを目指しています。また、JFS―Cは、FSSCやSQFと同等レベルとしています。

②HACCPの義務化について
HACCPの義務化は、2018年を目途としています。現在案としては、営業許可業種の見直しをしていますが、同時に拡大される可能性もあります。法的管理に対して、中小企業等が不安を持っているのではないかと考えられます。

義務化における注意点としては、実質的には営業許可申請時や更新時が中心の査察と予想されますが、一般に多くの食品事業者は知らない可能性があることや、違反時には厳しい指導となる可能性があります。

③自治体HACCPの課題としては、次のことが挙げられます。
・自治体HACCPとしてのばらつきが懸念されます。
・自治体HACCPの企業優位性の有無。
・保健所や監査組織の力量を必要とします。それは、食中毒の起きる時期、食品事故への対応力

④HACCPなど、「やりたいけど不安……」
HACCPの導入に対する不安では、以下のことが挙げられます。
・構築の労務・手間が膨大
・文書の要求
・大企業を想定
・文書や記録を管理
・建物の改修工事費用が不安
しかし、現段階で問題なく運営されていれば、大半は運用でカバーできることを知って欲しいものです。

⑤HACCP導入ステップ1、情報収集とレベル
HACCPの導入では、その範囲と対象製品を決定し、次のことを確認しておくことが肝要です。
・自社に必要な食品安全レベル
・経営者のやる気
・規格やガイドラインを入手
・自社が取引をしている顧客の要望

⑥HACCPの重要性と具体例

さて、ここまで現在のHACCPの状況と概要、更に実践的な内容についても述べてきました。HACCPの重要性について理解されたと思いますが、2010年に、筆者は環境問題とその戦略について書籍化しました。この中でHACCPについてのシステムと未来的な課題などを論じました。この内容は現在においても役立つことが少なくありません。

食品安全は衛生環境や工程内における危害要因制御をシステム化することが重要ですが、やるべきことを明確にしていくことは至難の業と言えます。しかし、コーデックスHACCPガイドラインは最低限安全な製品を構築するための管理対象が規格要求事項となっているので、導入する側としてはバランス良く自社にとって適切な食品安全マネジメントシステムを構築することが可能となります。

HACCPの目的である食品安全は利益と比較するものではないので、儲かろうと儲かるまいと行わなければなりません。コスト削減で食品事故を起こせば消費者が悲しむだけでなく、企業の存続にも関わり、社会や業界に与える悪影響は計り知れないものとなります。

※本記事は、2018年6月27日刊行の書籍『EARTH2050』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋、再構成したものです。最新の情報・法令・税制等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

※本記事は、2018年6月刊行の書籍『EARTH 2050』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。