リハビリ 〈2か月目〉

『一か月、母に負担をかけたな』

と思いながら、左手だけで不揃いに洗濯物をたたんだ。綺麗にたためなくても、少し自立を感じられ、前向きな気持ちになれた。自力で歩くことが目標とはいえ、洗濯の相棒としては、車椅子の存在はありがたかった。

この頃、右手はほぼ動かなかったので、書類など何かを書く時は左手で書いていた。元々、半分左利きだったので、ゆっくりなら字を書けた。でも、右手で書くことのできないもどかしさを感じてはいた。

足のリハビリは順調だったが、手の方は様々な問題が出てきた。

一番は、痛みだ。

これは、患者によって様々なようだが、私は、肩の痛みに苦しんでいた。痛みはリハビリを遅らせてしまう。私の肩は担当の作業療法士に随分と苦労をかけた。

一時期は痛みから肩関節を動かせず、ホットパックの処方が出て、肩をホットパックで温めてそれから少しずつ少しずつ、ストレッチしていただく、といった状態で先が見えなかった。時折、肩関節がバキバキという音(クリック音)がして激痛に苦しんだ。

それでも、病院のスタッフのみなさんが一生懸命してくださるので、心くじけることなく毎日頑張ってリハビリに取り組み、日々を過ごした。

ある時、痛みに苦しむ私は、

「痛み止めなどは飲まれていますか?」

と聞かれた。

「いいえ、飲んでいません」

と答えると、

「以前、同じような症状の患者さんが痛み止めを飲まれていたので、先生に相談されては?」

と言ってくださった。

確かに、痛みがあるとリハビリでも思うように肩も手も動かすことができない。特に肩の痛みはひどく、これはなかなかどれぐらい痛いかなど、分かってもらえない痛みだと思う。

まず、右上肢そのものがダンベルのような重さに感じ、その重みで肩から右上肢がもぎとられるのではないか、と思うほどだ。

2月下旬、早速、担当の先生にご相談し、薬を処方していただいたのだ。

薬を飲み、驚いた。多少の痛みはあるものの、痛みは劇的に軽くなり、作業療法のリハビリに、さらに意欲的に取り組めるようになった。