第2章 HACCPは、今

(3)HACCPグローバルスタンダート

(HACCP支援法・義務化法案/厚生労働省)

③ 世界のHACCPと食品の安全性と動向

数多い食品が安全で、クレームのない商品であるために、企業は製造する工場の工程をルール化することが必要です。基本となるのはコーデックスで、消費者の健康の保護、食品の公正な貿易の確保などを目的として、国際食品規格の作成を行っています。広く、多くの食品企業に取り入れられたHACCPの12手順、7原則を遵守する活動は、消費者の安全を確保する秘訣となり、さらには、企業の社会的責任(CSR)を果たすことになります。

HACCP(危害分析重要管理点:不良品の出荷を未然に防ぐことができるシステム)は、NASA(アメリカ航空宇宙局)と民間企業が合同研究し、最終製品の段階で危害が残らない食品製造の管理システムとして開発されました。コーデックスのHACCPは審査登録をすることを目的としているのではなく、世界各国に安全な食品の製造手法を広めることを目的としているため「要求事項」ではなく「ガイドライン」としていることが特徴です。さらに、その手法が導入されていることを確認する仕組みや、透明性をもたせるために審査登録制度が行政や食品安全規格管理組織(CPO)主導により世界各国で行われています。

日本でも総合衛生管理製造過程承認制度や対米輸出水産加工施設承認制度などが制定されてきました。しかし、審査登録のレベル標準化に対する善し悪しも含め、国際基準であるはずのHACCPが国や団体によって審査の手法や基準が異なるため、国際基準としての役割を果たせないばかりか、承認施設にて事故が発生して期待度が急降下したことが話題になりました。そこで国際標準化機構(ISO)は食品安全の基準を世界各国で標準化するためISO22000を2005年に発効しました。ISO22000は、HACCPシステムを含んでいると同時にISOのマネジメントシステム要素があるため、民間企業でも採用しやすい規格として広がりつつあります。

こうした広がりは、全世界で食品事故が相次ぐと同時に、新しい危害としてBSE(牛海綿状脳症)や鳥インフルエンザなどの発生やこれまで理化学的に検証することができなかった微生物や化学物質による食品汚染が見つけられる技術の進歩によって、食品安全への期待が社会的に強まっていることなどに起因しているのでしょう。食品業界では「安全は当たり前」という時代から、「安全は価値である」時代に変化したこともあり、他社との差別化としても本規格は機能を発揮することになります。

第三者審査を活用することにより透明性が高まることも企業ブランドを向上させる要因となっています。事故を起こす企業が相次ぐなか、厳しい第三者審査を受け安全宣言をすることは、消費者に安心感を提供する効果的な活動になります。

※本記事は、2018年6月27日刊行の書籍『EARTH 2050』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋、再構成したものです。最新の情報・法令・税制等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

※本記事は、2018年6月刊行の書籍『EARTH 2050』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。