堀留会

今年の夏はまさに猛暑の連続であった。

梅雨が明けるとその翌日から、途端に“さあ夏だよ!”とばかりに暑くなった。

その猛暑の最中(さなか)の八月の初め、一通の電子メールが届いた。

「……今年も堀留会(ほりどめかい)の季節になりました。去年はお目に掛かれませんでしたが、今年は如何ですか? いらっしゃるのでしたら同期の並木さんや高橋さんにも声を掛けてみます……」と。

嘗ての職場の先輩で、そして堀留会の幹事の一人、二木さんからの誘いであった。

この会は、私が昭和三十六年から、日本橋(ほり)(どめ)(ちょう)の銀行の支店に勤めていた頃の、先輩や同僚達との親睦の集まりである。年に一回開かれており、一昨年までは毎年きちんと出席していた。

しかし、昨年は丁度地元福岡の心友会の行事と重なった事から、堀留は止むを得ず欠席としたのである。

それに加えて開催月も五月から、新たに九月の最終の土曜日と変更になった事もあったし。

実の所、今年はどうしょうかな、と迷っていた。まだ先の事だしその内に決めよう、と考えていたところ、早々と二木さんに先手を打たれてしまった。

別段、断る理由も見つからなかった、参加する事にしよう。

早速、インターネットでスカイマークのホームページを繰り、早割りの切符を申し込んだ。まだ残っていた。

本来、日航やANAなら、普通片道三万三千円ほど掛かる航空券が、スカイなら一万二千八百円で確保出来た。福岡から東京まで結構高いのだが、上手くやれば格安になるもの。

「メール有難うございました。返事が遅くなってすみません。堀留会のご案内わざわざ有難うございます。早速航空券の手配を致しました。早割りで申し込みが出来ました。向後、突発的な出来事がない限り、出席させて戴く予定です……」

八月十日過ぎ、返事のメールを出した。

もう、九月下旬なら、その頃は涼しくなっているだろう、楽しみにして出掛けよう、と。