さらに、10週間後にそれぞれの群のマウスの肝臓の切片を観察したところ、「9μgMAF群」と「27μgMAF群」で脂肪肝の発症が顕著に抑制されていました(図表2)。

これらの結果は、腹腔に注射されたMAFが体重増加と血糖値の上昇を抑制して、脂肪肝発症を抑えることを示していました。

9μgMAFで十分な効果があることは、私たちに大きな自信を与えてくれました。これらの結果に勇気を得て、藤原君は「MAFが経口投与でも効果を発揮するのではないか」と考えました。

[図表2]2型糖尿病マウス(db/db マウス)の腹腔にMAFを注射した効果。A.「コントロール群」の肝臓の切片像。小さく白く抜けている部分は脂肪粒。脂肪肝を発症していました。大きく白く抜けている部分は血管。B.「9μgMAF 群」の肝臓の切片像。脂肪肝発症は抑制されていました。C.「27μg MAF群」の肝臓の切片像。脂肪肝発症は抑制されていました。

腹腔へのMAF注射の実験が終わるや否や、藤原君はMAFをdb/dbマウスに経口投与する実験に取りかかりました。MAFを水に溶かしマウスに飲ませることにしました。db/dbマウスを8匹ずつ3群に分けました。

「コントロール群」は水、「MAF群」は0.02%MAF水溶液です。そして、MAFとの比較のため緑茶のなかに35%ほど含まれているエピガロカテキンガレート(EGCG)の0.02%水溶液を飲ませる群を「EGCG群」としました。EGCGは緑茶カテキンのなかでは一番生理活性が強く、健康飲料としての緑茶の主要カテキンです。

※本記事は、2021年4月刊行の書籍『誰も知らない紅茶の秘密』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。