後遺症が不安でもリハビリをすれば

今後は後遺症との戦いである。

ベッドに寝て、倒れるまでのことを思い起こした。

意識をなくしてから、救急車で病院に運ばれたのだ。死ななかった。ソファーで横になって洋画を見ていた時、温かいお茶を飲もうと、首を大きく左に振ったとき、突然の出来事だった。脳梗塞か。心筋梗塞は予防していたが、毎日飲む狭心症の予防薬は役に立たなかったのか、脳梗塞とは予防薬は違うのかと思いながら目を閉じていた。

私の腕には点滴が施され、少しずつ、瓶の液がぽつぽつと体内に入っていく。何とも言いようのない不安感であり、今後の病院内での過ごし方に不安を感じる一方、脳に損傷が無く、今までのように考えることが出来ることに安堵した。

その日は、点滴と睡眠剤で熟睡できた。

朝になり、若い看護師が来て、

「如何ですか。話せますか」

心配そうな声で、起こしに来た。

「おはよう」と何時ものように応えようとしたのだが、思うように言葉が出ない。

「お・は・よ・う……」

これは大変だ。今までのように人との対話が出来なくなるのだろうか。不安。

その不安を感じ取ったのだろう。笑みをうかべ優しい声で

「リハビリで、その程度の後遺症は戻ると思いますよ。リハビリが大切です」

感じの良い看護師は、私の腕を取り、わきに体温計を差し入れて熱を計り、

「熱は無いようです。よく寝られましたか。何かあったら、ナースコールを押してください」私は、軽くうなずいて応えた。

「お大事に」

とカーテンの外に出ていき、隣のベッドの患者に声をかけている。

私は、今も、目を開けると目が回り、吐き気を感じる。その為にほとんど目を閉じて横になっていた。