みんなで貧乏になっていく「デフレ」の原因――「終身雇用制度」――

これまで、「終身雇用制度」の問題点を見てきた。

そして、それぞれがもたらした具体的な弊害を見てきた。

私は、もう一つ弊害をもたらしたと考えている。それは日本経済の停滞の原因となったデフレとのつながりだ。どういうことか具体的に見ていきたい。

会社は売上げが落ちるときもあるが、その際の選択肢としては、売上げを上げる努力をするか、支出を切り詰めるかのどちらかだ。

まずは、売上げを上げる努力をして販路をこれまで以上に広げる、新商品を開発するというのが正攻法だ。だが、これまで見たように社員に多様性が乏しいと、斬新なアイデアが出て来ることはあまり期待できない。堂々巡りのようだが、それができないからこそ売上げが落ちたのだ(地震などの天変地異やこの度のコロナ禍などは別にして)。

それでは、支出を減らそうという話になる。支出の内訳は会社によって違うが、仮に製造業を例にする。人件費、材料費、宣伝・広告費、減価償却費、研究開発費、設備投資、諸経費、税金などがある。

まず、材料費、宣伝・広告費を減らすのは、さらなる売り上げダウンにつながるから難しい。諸経費などは経営が苦しければ真っ先に手を付けている。減価償却費、税金は減らしようがない。研究開発費、設備投資もすでに控えているだろう。

すると、どうなるかと言えば、会社の生き残りのため、やむを得ず身内で我慢しようという話になる。結局、人件費、つまり社員の給料を減らすという落ちだ。社員も会社の生き残りのためだし、「終身雇用制度」のもとでは転職も事実上不可能だから、受け入れざるを得ない。

社員は給料が減る。当然、財布のヒモもキツクなる。つまり、モノやサービスを買わなくなるか、または以前より安いものを買おうとする。

つまり、自分たちの支出を減らすことでヨソの会社の売り上げも減る。

当たり前の話ではないか、という人もいると思う。

だが、これこそまさに「合成の誤謬(ごびゅう)」という現象だ。つまり、各個人、各会社はそれぞれ正しいと思う行動している。だが、社会全体で見ると、よくない結果を招いていたということだ。

※本記事は、2021年3月刊行の書籍『日本が没落した3つの理由――そして復活への道』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。