3.睡眠不足

免疫力が低下する原因としては「睡眠不足」も挙げられます。睡眠時間が少ないと体の回復力が低下し、免疫細胞の数も少なくなります。一日中活動して疲れた心身を回復させるためには、十分な睡眠が必要です。

これまでの疫学研究では、慢性的な睡眠不足が肥満をもたらすこともわかっています。しかし、そのメカニズムについては不明のままで、睡眠時間が人のエネルギー代謝にどのように影響するかがわかっていませんでした。

ところが、大幅に睡眠時間を抑制すると食欲抑制にはたらくホルモンが減少し、空腹感が増すなどの影響で肥満リスクが増加するということが、早稲田大学スポーツ科学未来研究所と花王株式会社ヘルスケア食品研究所との共同研究によって明らかになりました。

慢性的な睡眠不足は、身体の免疫力の低下や高血圧などの生活習慣病、自律神経のバランスの崩れ、記憶力の低下、意欲の低下などにも影響を及ぼすこともわかっています。

4.肥満

また、最近になって、「肥満」と「免疫力」の関係も知られるようになってきました。

「肥満によって免疫機能を調整するサイトカインという生理活性物質のバランスが崩れ、免疫機能に変調をきたした」ということを、日本女子大学の佐藤和人先生らのグループが報告しています。

余談になりますが、平成21年に大流行したインフルエンザでの死亡者や重症者に肥満の人の割合が高かったという報告もあります。これは肥満による免疫力の低下と関係しているのかもしれません。

別の論文によれば、内臓脂肪蓄積型肥満の人の大腸がん術後の予後が悪いことや、人工関節置換術を行った方の術後の炎症が起こりやすいことも報告されています。

腹八分目が健康に良いといわれていますが、肥満を防ぐことも健康長寿を目指す方法としては大切なことといえるでしょう。

5.体の冷え

さらに、「体の冷え」は自律神経のバランスを乱し、免疫力を低下させます。免疫細胞は37℃前後で活発にはたらくといわれていますから、体を冷やすと、当然免疫力も落ちてしまいます。そのため、肩こり、腰痛、下痢、便秘、生理不順、貧血などのさまざまな不快症状があらわれやすくなります。ですから、冬はもちろんのこと、夏でも冷房などで体が冷えすぎないように気をつけましよう。

6.タバコの喫いすぎ

また、「タバコの喫いすぎ」も体にとって有害です。タバコは空気の通り道である気道や肺自体へ悪影響を及ぼすことが知られています。喫煙は慢性気管支炎、肺気腫、喘息などの呼吸器疾患の原因と関連していますし、さらに歯周病の原因と関連があるという報告もあります。

タバコの喫いすぎはよくないということで、最近、ニコチンが含まれていない加熱式電子タバコが愛煙家の間で人気のようですが、じつは電子タバコに関する確実な研究結果はまだ出されていないのです。そのため、それがどのように人間の健康に影響を与えるかはわかっていません。

一般社団法人日本禁煙学会(理事長 作田学氏)は、「加熱式電子タバコは普通の紙巻タバコと同じように危険で、受動喫煙で危害を与えることも同様である」と、緊急警告を発しているのです(2017年7月21日)。

免疫を高めるためには……

免疫力が低下する主な要因を見てきましたが、それでは免疫力を高めるには、具体的にどのようにすればよいでしょうか。

早い話が、免疫力が低下しないような生活をすれば良いわけですから、次のようなことに気をつけると良いでしょう。

・バランスのよい食事を心がける。
・過剰なストレスを受けないようにする。
・十分な睡眠をとる。
・腹八分目を心がける。
・体を冷やさない。
・禁煙する(タバコを喫いすぎないようにする)。

※本記事は、2021年2月刊行の書籍『人生100年時代健康長寿の新習慣』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。