これらは住民の高齢化という理由のほかに、過疎化、すなわち空き家が増えたことに起因する、すなわち負のスパイラルによるものであり、それは空き家に人が住むようになれば自然に解決されるはずである。

ただしそこが自然災害危険地域であれば、これは別の問題であり別の解決策を求めなければならない。

いずれにせよさまざまな問題から自宅を売りたい、処分したいという思いは強くなってくるのだが、思うようにそれが進まず、それでもそこで生活を続けることがむずかしく親族の家などで生活するようなケースが増えている。

特に大都市圏の郊外、それも戦後の成長期に急激に造成された新興住宅地ではそれが多いように思える。当然のことだが、住宅の売買は需要と供給の関係で進む。そこに住みたいという人がいれば売買が成り立つ。

住みたいという家、購入したい家とはどんなものだろうか。

それは、

1.生活に便利である。これは通勤通学を含めた日常の交通を含めてである

2.環境が良い。空気がきれいで静かである、景色が良いなど

3.安全性が高い。特に近年多発する自然災害に強い

4.長く住むことができる。高齢化や家族構成の変化にも耐えられる

5.価格が手ごろである

6.資産価値が保てる。売りたいときに妥当な値段で売れる

これらをすべて満足させる物件というのを見つけるのはなかなかむずかしく、これらはまさに空き家になる理由と裏腹の関係である。

人口が減ってマクロでは需要と供給がアンバランスになってくるとともに、個々のケースでも売り手と買い手とのミスマッチというのが空き家発生の原因になっていると言える。

※本記事は、2021年2月刊行の書籍『自然災害と大移住』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。