おかんはいかにしてサッカーコーチになったのか?

いまのチームに入った経緯

内向的でおとなしい息子のアラタが小学校に入ったのをきっかけに、おかんはアラタに聞きました。

「アラタ、小学校に野球のチームとサッカーのチームがあって、お母さんはアラタにどちらかをやってほしいと思っているんだ。野球やってみない?」

おかんとしては、息子はおとなしくて下手するといじめの標的になるかもしれないので早いうちに集団スポーツに入れてもまれたほうが良い、と考えたのです。ただ、サッカーみたいなガツガツしたスポーツは息子の性格に合わないだろうと見込んであえて野球を勧めました。

小さい頃の息子は気分が乗ったときじゃないとしゃべらない子だったのですが、母親のこの話を聞いて、少し考えた後、

「サッカーのほうがいい」

とはっきり言いました。

(ええっ? 本当に?? 大丈夫なのか?)とおかんのほうが心配になりましたが、夫がもとサッカー小僧でサッカー好きなのを息子は小さいながらに感じていたのでしょう。そういうおかんも野球よりサッカーのほうが好きだったので、

「アラタがそういうならサッカーを見学に行こう」

と言って、サッカー体験に行くことにしました。

サッカーチームが練習しているグラウンドに行くと、小一男児がわらわらと参加していて、養生テープにマジックで名前を書いた簡易名札を付けて、早々にボール遊びを始めていました。

当時の低学年メインコーチは、やたらカリスマ性がある、すぐに子ども心を掴んでしまう人でした。サッカーがうまく、力強さとカッコよさを見せつけてくれるうえに、初めての子でもすぐに名前で呼んでたくさん褒めてくれる。そして、笑わせてくれる。そんな人だったのです。

小一男児共は瞬時にしてやられてしまいました。もちろん、うちの息子もそうだったようです。

2時間の練習を終えて、息子に改めて聞きました。

「サッカーやる?」

「うん」

「この後、同じグランドで野球もあって参加できるけど、野球じゃなくていいの?」

「サッカーでいい」

(じゃあサッカーにしよう。このコーチだったら大丈夫だ)

こうしておかんは息子をサッカーチームに入れたのでした。のちにおかんも所属することになるこのサッカーチームの名前は「エスフォルソFC」。保護者がボランティアで運営している町のチームです。

特に他チームのリサーチもしないで、息子がいまのチームに入って、かれこれ6年になります。

サッカー関係のウェブサイトを見ると、子どものサッカーチームを選ぶときは、親はその後のしがらみにつながってくるからよく選んだほうが良い、ということが書いてあります。まぁそれはその通りだし、思い通りにならないことのほうが多いんだけれど、それでもこのチームで良かったなと思います。

最初に会ったカリスマコーチは、複数のチームから引き抜きがあって、結局、ご自身の息子さんが所属する別チームのコーチとして移籍してしまったのですが、おかんの息子の代は最初の盛り上がりが楽しかったので同学年の子がたくさん同じチームに入ったのです。

その同級生のパパさんたちが多くコーチになって活気のある学年カラーとなりました。パパコーチのなかには、のちに代表になるTコーチと事務局長になるMコーチもいました。

また、この「エスフォルソFC」は、サッカーと子どもが大好きなコーチを各学年に定着させるよう心掛けていて、大人たちが一生懸命子どもたちを育成しています。いまとなってはおかんもサッカーコーチのはしくれです。

そんなこんなで、息子は相変わらず性格は内向的で、ガツガツサッカーするようにまでなっていませんが、楽しくサッカーを続けています。息子がガツガツしない代わりに、おかんである私が勝手にガツガツして審判トレセンに通ってサッカーにはまってしまい、成り行きでコーチになってしまいました。

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『グリーンカード “おかんコーチ”のサッカーと審判日記』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。