だから人が住まないことがはっきりとわかっている家は、解体して更地にするか、人に住んでもらうほかはない。解体については、ずっと以前から言われているがその費用負担などをめぐってなかなか進まない。

だから人に住んでもらうのが理想なのだが、人口減が進む今、そんな人を見つけるのは大変だ。だから筆者は、自然災害危険地域に住む人に移住してきてもらうのがベストな解決策であると考えているのである。

その前になぜ空き家が増えるのかについて考えてみたい。人口が減っているから、と言ってしまえば話は簡単だが、一方で建売住宅やタワーマンションから賃貸アパートまで集合住宅も相変わらず建築が進んでいる。

なぜなのだろうか。それには大きくふたつの問題がある。ひとつは今まで人が住んでいた家に住まなくなって空き家になった家が増えていること。もう一つはそれにも拘わらず新しい住宅が一方で次々に建てられていることである。

人が住まなくなった家が増えている

空き家が増えていると誰もが感じていると思う。しかしその空き家とはどんなものを指すのか、その定義というのが結構難しい。

総務省では空き家について図3のように定義しており、ここでいう空き家として集計対象としているものが統計上の空き家と言って良いのだろう。

図3 空き家の体系

しかしこのなかにも、住民登録はされているものの、そこに住んでいる人を見かけないという家屋が結構ある。高齢でどこかの施設に入っているとか、親族(子供や兄弟など)の家に行ったきりになっていて、めったに自分の家に帰らないケースなどである。

これは空き家としての統計には入っていないが、実質的には空き家である。このような実質空き家も地方だけでなく、東京都内や近郊の住宅地にも多くなってきているようだが、実態はわからない。

さらにもう一つは、特に地方に多いのだが、仕事で長期にわたって不在になるようなケースで、この場合は本人や家族が住民票を移したくても、人口が減少していることを隠したいために地域がそれをさせない、あるいは甚だしきは選挙の票田として逃がしてくれないケースがある。

これは離島など過疎地に行ったときによく聞かされた話である。これは5年ごとの国勢調査人口と住民基本台帳との人口差として現れると思うが、これも実質空き家である。

さらに空き家のなかには、所有者がいるケースと、所有者が誰かわからない、あるいはわかってはいるが所有者という意識がないというケースがあり、問題をより複雑にしている。もう少し掘り下げてみよう。

※本記事は、2021年2月刊行の書籍『自然災害と大移住』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。