「それは……」

「今、現在、この国は男と女の比率を国が支配しているのを知っているかい? 僕たちがポポリタンドリンクを飲まなければ本当は男の数はもっと増えてるはずなんだよ」

「どうして私にそんな大事なことを話すの?」

「君は、僕を子供を作る道具として見ていないから」

「当たり前じゃない。あなたとの間に子供ができるはずないもの」

「美紀さん、あなたが今言った台詞、三百年前だったら笑われてますよ。二十六歳にもなってそんなこと言うなんてって」

美紀の母、民絵が帰宅し、一瞬固まってしまったが一呼吸おいて、

「いらっしゃい。どちら様かしら?」

と訊いた。種男百五番は、

「はじめまして。僕は、種男百五番です。よろしくお願いいたします」

「まあ、あなた、本物の男? 私、男の人を見るの初めてよ」

「僕も二十七歳以上の女の人を見るのは初めてです」

「まあ、失礼ね。それにしても我が家に男がいるなんて絶対近所の人たちに知られたらまずいわよ。男の人ってどんなものを食べるのかしら? 毛が顔にも生えるんですってね」

「お母さん、ちょっといいかしら」

「お母さん、これから三日間おばあちゃんの家に行ってくれない? 私ね、日本の政府が本当はどんな計画をたてているのか知りたいのよ。あの種男百五番は口が軽そうだから、おもしろくなりそうよ」

※本記事は、2021年3月刊行の書籍『種男貸し出し中』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。