貼り薬は介護を拒否するアルツハイマー病の人にも都合がよく、服薬を忘れることを防げます。貼り薬を剥がしさえしなければ、1日1回の貼り換えでよいので、アルツハイマー病の人と介護者にとって、使いやすい薬です。貼った所の皮膚が赤くなるとか、かゆくなることがあります。

その場合、ステロイド薬を含んだ軟膏などを塗ることで改善が期待できます。貼布部位を変えるなどのスキンケアに留意し、副作用出現時には早めに主治医に連絡するとよいでしょう。アセチルコリンが増え過ぎることで、吐き気などの胃腸症状、治療を始めた時や増量時にめまいや眠気の出ることが稀にあります。

30年余り前、リバスチグミンを内服薬として外国で治験され、アルツハイマー病の人の治療薬として市販されました。日本でも同様の治験が行われましたが、内服薬による腹痛や下痢が頻繁であったため、日本での治験は中止になりました。その後、貼り薬としてのリバスチグミンの効果が改めて検討され、ドネペジルやガランタミンより消化器の副作用が少ない薬として使用できるようになりました。

c)メマンチン塩酸塩

アルツハイマー病の人のもの忘れ・興奮・妄想・攻撃性・激怒・暴力などを減らすのに有効です。

a)~b)のアセチルコリンに関係した薬とは異なり、メマンチンはグルタミン酸受容体を介する薬です。過剰のグルタミン酸は神経細胞を壊します。その毒性を防ぐための薬です。

中等度から重度のアルツハイマー病の人に使われます。最初は5mg錠から始めて、1週ごとに5mgずつ増やし、20mg錠まで増やせますが、効果が見られた時点でそれ以上の増量をせず、その量で維持します。

OD錠は口の中で崩れるので唾液だけでも服用できます。飲み込みにくいアルツハイマー病の人に勧められます。副作用として頭痛、めまい、ふらつき、便秘、すぐウトウトする傾眠が起こることもあります。

特に、腎臓に強い障害のある人では慎重に投与して、1日1回10mg錠で維持します。アセチルコリンを増やす薬との併用療法により顕著な症状改善効果が見られることもあります。

※本記事は、2021年4月刊行の書籍『認知症の人が見る景色 正しい理解と寄り添う介護のために』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。