日本製の薬ですが、その効果は1996年にアメリカで先に証明され、間もなく欧米で使用されました。しかし、日本では1999年の暮れにやっと効果が証明され、使用できるようになりました。

日本で発見された薬の使用がアメリカより3年も遅れたことは残念なことです。

1.認知機能障害に使われる薬

アルツハイマー病を治癒させる特効薬はまだありませんが、記憶障害の進行を遅らせる薬はあります。アルツハイマー病の人の脳内では、記憶の刺激の伝わり方が異常になるため、その伝わり方を正常に調節する薬を使うこともあります。

アセチルコリン以外にも、グルタミン酸という神経伝達物質に作用して、記憶障害や異常行動を回復させる薬も使われています。

a)ドネペジル塩酸塩

アセチルコリンの分解を抑え、脳内のアセチルコリンを増やし、神経細胞間の刺激伝達を活発にします。

アルツハイマー病だけでなくレビー小体型認知症にも効きます。記憶障害の進行を抑え、早期でも効果があります。さらに、「何もしない」「抑うつ」「不安」など、もの忘れ以外の症状にも有効です。

早期に治療を始めるアルツハイマー病の人はまだ多くはなく、認知症でも早期発見、早期治療が大きな課題です。個人差はありますが、一般的には効果は1~2年程度しか続かず、根本的な治療薬ではありません。副作用として食欲が低下することがあります。

稀に、神経伝達が活発になりすぎて、興奮や幻覚などの異常が見られることもあります。副作用を予防するために慎重に、最初1~2週間は1日1回3mgから始め、その後5mgに増やします。

重度のアルツハイマー病の人には10mgまで増量できます。錠剤のほか、ゼリー、細粒、ドライシロップの剤形があります。嚥下が難しい人には、ゼリーやシロップを選択できます。

効果については3ヵ月毎に判断する必要があります。これは他の薬についても同じです。

※本記事は、2021年4月刊行の書籍『認知症の人が見る景色 正しい理解と寄り添う介護のために』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。