内分泌機能異常症

a)甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンは脳の働きを活発にします。このホルモンが少なくなると、脳の働きが悪くなり、ボンヤリして、認知機能も低下します。それらの人が、甲状腺ホルモンを服用すると、認知機能も改善します。

b)下垂体機能低下症:脳下垂体から出るホルモンが少なくなると、認知機能が低下します。副腎皮質ホルモンやバソプレシンを投与すると認知機能は改善します。

c)副腎皮質機能低下症:副腎皮質ホルモンが減りますとアジソン病になり、認知機能が低下します。副腎皮質ホルモンを投与すると認知機能は改善します。

d)クッシング症候群:副腎皮質ホルモンが過剰に分泌された時に起こります。肥満、高血圧などとともに、認知機能も低下します。腫瘍を外科的に摘除したり、ブロモクリプチンなどの投与を試みると認知機能が回復することがあります。

e)副甲状腺機能亢進症または低下症:副甲状腺ホルモンが多いと高カルシウム血症が起こり、少ないと低カルシウム血症が起こり、いずれも認知機能が低下します。前者にはビタミンD3を、後者にはカルシウムを投与すると改善します。

中毒性、欠乏性、代謝性疾患

a)慢性アルコール中毒:飲酒により、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、ペラグラ、マルキアファーヴァ・ビニャミ病、アルコール性認知症などの認知機能低下が起こります。断酒をして、ビタミン剤を投与すると認知機能が改善することがあります。

b)一酸化炭素中毒:一酸化炭素の中毒により、脳が傷害されて認知機能低下を起こします。できるだけ速やかに高圧酸素タンクの治療を受けることです。

c)薬物中毒:多くの薬物により、認知症またはせん妄を起こします。抗がん薬、抗精神病薬、抗菌薬、抗てんかん薬により、認知機能低下が起こることがあるので、服用している薬物を検討することが大切です。中止するか他の薬物に変更する必要があります。

d)金属中毒:水銀、マンガン、鉛、アルミニウムなどの金属により、認知機能低下を起こすことがあるので、その場合は金属を除去することが大切です。

e)ビタミン欠乏:ビタミンB1・B6・B12・ニコチン酸・葉酸が欠乏すると、末梢神経障害や貧血などに加えて、認知機能低下が起こります。アルコール常用者、消化管切除術を受けた人、抗てんかん薬などを服用している人でよく起こります。ビタミン投与が認知機能を改善することが多いので、血中のビタミンを測定することが大切です。

f)高血糖・低血糖:糖尿病やその治療中に、高血糖や低血糖を起こすことがあります。いずれも神経細胞を傷害して、認知機能の低下を起こします。できるだけ早期に発見して、血糖を正常化させると認知機能は回復します。

g)電解質異常:血清中のナトリウム、カリウム、カルシウムなどが少なすぎたり多すぎると、認知機能低下を起こします。薬物の副作用として起こることも少なくありません。そのため、できるだけ早急に測定して、輸液により補正することが望まれます。

※本記事は、2021年4月刊行の書籍『認知症の人が見る景色 正しい理解と寄り添う介護のために』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。