自力入浴への道

毎日の入浴。これが、私の中ではかなりハードルが高く、我慢を強いられる戦いになった。私は、元々アレルギー体質で、ハウスダストのアレルギー抗体が人の二千倍もある。毎日シャワーを浴びられないことが、どれだけ苦痛か……。

それでも週に2回は入浴日があったので、ありがたかった。はじめは、看護師に、体も髪も洗っていただき、乾かしていただき、すべてをお任せする他なかった。

『毎日、入浴する道は遠いな』

少し気弱になった。

同室の方で杖歩行されていた女性は、毎日シャワーに行かれていた。正直羨ましかった。

車椅子の私が、完全に杖歩行になるにはまだまだ時間がかかる。それは自覚していた。しかし、そこでまた、閃いた。

『左手で、シャンプーも体を洗うことも、自分で結構できますってアピールしよう』

看護師も、一度に数人の患者の入浴介助をされる訳で、少しでも自分でできれば、その分、役に立てるかもしれない、と。

そして、スタッフに、

「まだ私、車椅子ですけど、シャワー室まで移動して洗い場まで行けたら何とかなるのですけどね。本当に早く毎日シャワーを浴びたいです」

と訴えた。スタッフは、

「お気持ちは分かりますが、許可が出ないといけないので」

と言われた。

「でも、宮武さんは、左手で上手く髪も体も洗われていますね。スタッフで相談しますね」

とおっしゃってくださった。

1月下旬、女性作業療法士による私の「入浴テスト」が行われた。

移動は、車椅子でよいので浴室まで行き、壁際の手摺につかまって立つ。その間に車椅子を撤去していただき入浴用介助椅子を設置。手摺につかまったままゆっくりと椅子に腰を落とす。シャワーを浴びている間、ふらつかないか、きちんと洗えているか、などを見ていただいた。ドキドキしながら、返事を待っていると、

「宮武さん、大丈夫だね。明日からシャワーいいですよ」

と言ってくださった。

『神様、仏様、療法士様、ありがとうございますーー』

しばらく、シャワー室への移動では、スタッフにお世話になったが、後の二月中旬には、完全に入浴自立も許可をいただいた。

※本記事は、2021年2月刊行の書籍『アイアムカタマヒ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。