それには広島に人を集めている企業などの思い切った移転が必要だ。中国地方を代表している官公庁のほか、マツダの本社工場やグループ企業を移転させればその効果は大きいだろう。移転先は、広島県内だけでなく、広く中国・四国を含めて考えるべきだ。

「帝国データバンク広島支店の調べによると、2019年に広島県内から県外に本社機能を移した企業が24社あり、2010年から19年までの累計では72社の転出超過だった。移転先は東京都が24%、岡山県が17%、山口県が12%、大阪府が9%で、業種別ではサービス業が30%、卸売業が18%、製造業と小売業が12%だった」(2020年06月26日付日経新聞)。

これは必ずしも地形的な条件からのものではないと思うし、他の県庁所在地クラスの都市との比較がないので広島特有のものかどうかはわからないが、現実にはそのような移動は起きている。

全国にもこのような地形を主とする地理的条件に合わない、あるいはそれを無視してどんどん市街地を広げて行って危険地域に人が住んでいる例はほかにもある。その中で多くは、最近の人口減少から危険地帯に住む人の数も減っているだろうが、広島などはまだまだ拡大が続いているように思われる。

どこでもこのようなリスクはもうとっくに気が付いていて見直しが進んでいると思うが、ほとんどは市町村、もしくは県のなかで解決しようとしているようだ。

市町村や県単位だと都市の縮小、『都市をたたむ』(饗庭伸著、花伝社)などという意思決定はなかなかできない。これこそ国が主体となって、国の責任で国土全体の都市配置の見直しを行いながら、自然災害リスクを最小化させなければならない。

東京湿原のように、指定地域を定めて半ば強制的なプロジェクトとして遂行することがここでも必要と思うが、対象地域の選定なども含めて、これも国の事業として行うべきである。

※本記事は、2021年2月刊行の書籍『自然災害と大移住』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。