〈辛い思いをさせて申し訳なかったです……これから笑顔で話がいっぱいできるような家庭になるように努力します。よろしくお願いします〉

(努力しますって……笑って話せる家庭って、努力しないとできないものなんやろうか。できたとして、そんな家族の団らんって何だろう?)

思えば結婚して二十年経つけど、家族みんなで心から笑って話すことなんてなかったように思う。そんなふうに楽しく自然体で生活するどころか、孝雄の言動に怯え、顔色を窺い、常に気を遣って暮らしてきた。

気持ちが少しでも楽になるように、自分の心の持ち方を変えながら……。今日だって、晴香さんのことをはっきりさせるために、機嫌が悪くならないようにと気を遣って切り出したけれど、本当のところどうなのか、全然話そうとしなかったじゃない……。

(努力するというなら、字面ではなく、態度で見せてほしい)

いずれにしても、私の結論は一つしかない。子育てが一段落したら、お義母さんの介護が終わったら……その時は……! 私はその夜から、二階の寝室ではなく、一階のリビングに布団を敷いて寝ることにした。もちろん、自分の体を第一に考え、安眠を確保するためだ。

※本記事は、2021年4月刊行の書籍『夫 失格』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。