ザッポスのような会社をつくりたい!

ザッポス・ドットコムは、アメリカ合衆国ネバダ州ラスベガスに本拠を構える、靴を中心としたアパレル関連のネット通販サイトを運営する会社です。CEOはトニー・シェイ。2009年7月にアマゾン・ドット・コムに当時の史上最高額で買収されました。

「朝起きたら、会社に行くのがワクワクする会社をつくる」との思いからトニー・シェイはザッポスに参加したそうです。そのザッポスには、通常のネットショップでは考えられない戦術が複数あります。

まず、ザッポスは広告を出しません。その代わり、SNSを徹底的に活用し人気を博しています。ザッポスの徹底的なサービスに多くの感動の秘話があるのです。それがSNSで口コミになり、評判になります。そして、ザッポスは「ザ・リッツ・カールトンホテルの靴のネットショプバージョン」のような、常識では考えられない高いサービスを行っています。

ザッポスを探求していると、長野県長野市のタクシー会社である中央タクシーの会長、宇都宮恒久さんの「お客様が先、利益は後」という言葉を私は思い出します。彼の話に気づきを得て、私も救われた時期があります。

さて、読者の方は、トニー・シェイやイーロン・マスクの話をすると「自分とは関係ない」と思われるかもしれません。しかし、先ほど述べたように、テスラは自動車会社としたら、とても小さな会社です。ザッポスも最初は小さな会社なのです。その2社が世界的な成功を収めたという事実も踏まえ、そこから学ぶべき点はたくさんあると思います。

社員が主体的に信じられないサービスを主体的に行うザッポス。利益という言葉を辞書に持たないようなサービスです。しかし、「ありがとう」が連発されます。そして、次々と事業を拡大していくための策が、すべて顧客目線で行われるのです。「これ、業界の常識だから」と自分を業界に縛り、業界の常識という牢屋に自分を閉じ込め、自分の信念を全うできない人生を送る意味や価値はどこにあるのでしょうか。そして、そんな牢屋に住む経営者にかけがえのない人生の時間を提供する社員をどう感じますか。

これまで私が示してきたように、すでに「お客様の感動が先で、利益があとから付いてくる」、「社会の一員として役割を果たし成長していく企業」のエビデンスは整っています。さらに、利益追求型で社会から消えていく企業のエビデンスも。いま、「小さな会社」がザッポスを見習わないで何を見習えばいいのでしょうか。

いつの日か私もラスベガスに行き、ザッポスを訪問したいと思っています。そこには世界中から企業訪問者が訪れているそうです。

※本記事は、2021年3月刊行の書籍『惹き寄せるチカラ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。