転職しようとしても、その機会は新卒よりはるかにも少なく、かつ条件も厳しい。そもそも「第二新卒」という言葉があること自体が、チャンスは一度だけということを表している。転職がごく普通のことであれば、こんな言葉は生まれない。

かくして、会社に入り定年まで過ごす。うまくレールに乗れば幸福な人生だ。

だが、一度でも大きなミスをしてしまうと、定年までの道は暗黒だ。

実は、私自身がそうだ。40代のはじめ、仕事で朝から晩までパソコンを使っていた。眼の奥と首がひどく疲れる。夜、家に帰り横になる。だが、目を閉じても眠れない、つまり不眠症になった。結局、休職を願い出た。

その代わりに昇進の道はなくなった。だがいまの時代、クビにならないだけでもありがたい、そう思い過ごしてきた。

とはいえ、窓際族は辛いから一度、転職も考えた。だが、40代過ぎての転職はかなり厳しい。口があるのは、専門的な技能を持つ人か、優れた実績をあげてきた人くらいだ。

いっそのこと海外に出てしまおうと無謀にも思いたち、一番近い英語国のフィリピンまで面接に行った。だが、業務歴を説明する段階で、総務、庶務的な仕事というのが、私の英語力が低く理解してもらえず「しどろもどろ」になり、当然採用してもらえなかった。

だから、不幸にして職を失った人や、そもそも最初の就職活動でつまずいた人のことがとても他人ごととは思えない。

※本記事は、2021年3月刊行の書籍『日本が没落した3つの理由――そして復活への道』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。