2章 第一の関門――筆記試験への挑戦

1 筆記試験とは何か

試験会場の張りつめた雰囲気

試験会場は、大学を使うことが多く、広い教室や階段教室が一般的のようだ。私は東京の会場で受験したが、ものすごい数の受験生で、朝、最寄りの駅から試験会場まで行列となり、道に迷うことはない。

若い女性が圧倒的に多い。男性もいるにはいるが、少ない。まして男性のシニアはほとんどいない。皆さん、緊張した表情でもくもくと会場へ向かう。

試験が始まる寸前まで、受験者は寸暇を惜しみ、テキストや参考資料に目を通して、その緊迫感は半端ではない。全く会話はない。開始前に、試験官から、携帯の電源オフの注意や机の上には鉛筆・消しゴム以外は禁止である旨、徹底される。

また不正行為の罰則や試験中の入退室についても言及される。ほとんどの試験科目は一時間で、満点は百点である。一科目が終わるとぐったりする。年のせいだろうか。三〇分の休憩時間は、次の試験科目の準備に追われ、あっという間に終わり、次の試験科目が始まる。

午後の試験はくたくた

午前中の二科目が終わるとお昼休みだが、ほとんどの人はコンビニなどのおにぎりやサンドイッチで簡単に済ませ、午後の試験科目の準備を始める。私も昼食はおにぎりとお茶で軽く済ませ、参考資料に目を通す。

午後の試験科目となると、午前中の試験の疲れが溜まり、質問への解答がなかなか出て来ない。なんとか気持ちを奮い立たせて頑張るものの、最後はヨレヨレで一日目の試験科目が四時半に終わる。

もうぐったりして帰路に着く。夕飯後、明日の試験科目の準備をするが、初日の結果が気になってなかなか集中できない。

二日目の試験に突入

前日の疲れが残るも、気を引き締めて、試験会場に向かう。初日の緊張感は幾分収まり、休憩時間に周りの受験者との会話もできるようになる。

受験者の動機や背景を聞いてみると、保育所で現在「保育補助」や「調理業務」や「保育事務」をしていて、保育士の資格を取りたいと言う人や保育園長から保育士の資格を取るように強く指示された人が多かった。皆さんは、保育所の仕事の流れには精通しているが、試験そのものにはかなりのプレッシャーを感じていたようである。

二日目午後は苦手な音楽

二日目の午後になると、さすがに疲れで集中力が切れてくる。しかも最後の試験科目は、私の苦手な「保育実習理論」である。特に「音楽表現」は、音程、音階、転調、移調、和音、コードネームと私にとって自信のない試験科目である。

音楽が得意なのだろう、周りの若い女性たちが問題用紙を次から次へとめくる音がよく聞こえて、一方、自分の回答が進まないことで、焦りとなって汗をかく羽目になる。もう必死で問題に取り組む。そして終了時間を告げるベルが鳴って、ペンを置いた。

筆記試験の各科目に触れるにあたって

これから筆記試験の各科目を順にながめていくが、私は保育士のテキスト本を作るつもりはもうとうなく、厚生労働省のホームページや全国保育士養成協議会のホームページ、「保育所保育方針」、「保育所保育指針解説書」、「全国保育士会倫理綱領」、「保育所における感染症対策ガイドライン」、「子ども虐待対応の手引き」、ユーキャンの保育士試験合格指導講座教材などの指針やガイドラインのうち、自分にインパクトを与えたところを整理したものであることをお断りする。

また保育士になった後で、保育所での実経験で気づいた点にも関連ポイントとして触れたいと思う。なお各科目の順番は実際の筆記試験の順番とは必ずしも同じではなく、私が便宜上付けた順番である。
 

※本記事は、2018年8月刊行の書籍『じーじ、65歳で保育士になったよ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。