さて、本番を迎えた結婚式と披露宴は、一次会と二次会に分かれた企画であった。

先ず、一次会は「食事会」と銘打ち、お招きしたのも近親者のみで、それも本人達が最も親しい人達ばかり、人数も両家合わせて三十人足らず。

そして二次会は会社の上司、同僚、学生時代の友達等。これは百五十名ほどの多勢であるため、会場も別に設定、代官山のビルのホールを借りて催した。

式には一次会の人達にも、更に二次会の人にも出来るだけ参加して貰いたい、と欲張った計画であるため、一次会を先に行い、二次会との間に式典を入れざるを得ない形となったのである。

愈々当日となり、我々親達を中心にしたお食事会は、午前十一時から始まった。

食事会に於いての、司会進行は全て新郎と新婦が行うもので、最初は新郎が自分の席で挨拶をし、立ったり座ったり、そして宴が始まって行った。

乾杯の後、順番にマイクを回して行く。

(乾杯の音頭は新郎の祖父の渡辺良雄さんで今年九十歳、岡山から駆けつけてであった。ピンクのシャツに、赤のネクタイ、紺のブレザーでなかなかダンディーなおじさんである)

出席者も簡単な挨拶と親族の紹介を、それぞれの代表者が行い、長々とお決まりの祝辞をしゃべる人は誰もいなかった。

終わりに近づいた頃、新郎のお姉さんのピアノ演奏があり、そしてその後、お母さんも加わっての二人の連弾。

これが雰囲気として特に素晴らしかった。

親子のなかなか高尚な趣味は、正直羨(うらや)ましかった次第である。

そして、愈々この後、食事会に続いて全員が庭に出ての式であった。

この後に二次会が控えているので、それに出席する極く親しい友達などが、一緒に式典に参列した。若い男女が加わったので、華やかさが増した。

新婦である次女は、ビールが好きで一次会の時、自分も飲みたかったらしいが、式と二次会が控えているので、流石に遠慮していた。それでもワインを二~三杯は口に入れていた様だが……。

厳かな内にも和やかな式典であった。

司会進行は、会場の女性が控えめに行う。

狭い庭に絨毯(じゅうたん)を斜めに敷き詰め、新郎新婦は二人でバージンロードを歩いて行く。

アーチの前で、誓いの言葉と指輪の交換。

そして同じ様にロードを退場する。

フラワーシャワーを盛んに浴びせて、祝福した。

まあ、宴も終わり、皆んないい加減出来上がっていたので、盛り上がるのも当然。

“わあわあ”であった。

まさに簡単な式である。

これを人前式と言う。今日出席した人達が証人となり、本人達は皆んなの前で宣言する。

最近流行の結婚式であった。

その後、息つく間もなく、二次会に駆けて行った。

※本記事は、2021年3月刊行の書籍『孫の足音』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。