グラニテ、燕子花図屏風

神宮外苑の銀杏並木は、秋の終わりの黄色のトンネルで有名ですが、新緑のそれもみずみずしくて素敵です。

その下の「キハチ」のオープンテラスでランチを(図3)。今回、なんといってもデザートが美味しかった。グレープフルーツのマチェドニアに白ワインのジュレ、ヨーグルトアイスを入れ、口の中を刺す冷たく甘いものは、カンパリのグラニテだそうです。甘酸っぱくてちょっと冷たくて、この季節にピッタリ。

(図3)キハチのランチ

外苑横の公園にある「ナンジャモンジャの木」。別名ヒトツバタゴといい、結構珍しい木であるらしいのにこの春は、愛宕、岐阜駅の前、そして外苑で見かけたのでした。開花時期が短く、天高く白く咲きこぼれるようなこの花を、これだけ何ヵ所かで見たのは初めてです。

青山通りをブラブラ歩いて、根津美術館へ。

あまり計画的でなく歩いたので、ここに着いたのは閉館時刻の20分前でした。どうしよう?と一瞬、友人と迷いましたが、今は正にカキツバタの季節。これは見ない訳にはいかない、と滑り込み入館。

竹の回廊(図4)をくぐって、近年、隈研吾氏によって新装なった建物へ。国宝である光琳の「燕子花図屏風」(カキツバタズビョウブ)。この時期にしか見られないというこちら、やはり実物を観た甲斐がありました。

(図4)竹の回廊

そして慌ただしく庭へ。

青山のこの地に1700平方メートルあるという、起伏のある回遊式の庭園。うっそうとした緑の中のあちこちに、仏像が佇んでいます。池の中に、本物のカキツバタが静かに咲いていました。

初夏を思わせる夕暮れの、爽やかな新緑。薄緑のモミジの葉っぱの先の、ごく小さな薄紅色の花。庭の奥に聳え立つタイサンボクの巨木の、熟れた花の微かな甘い匂い。

こうして過ごすちょっと贅沢なひとときが、ささくれ立った自分の心を少しずつ癒してくれることを願って。