行動・心理症状とは?

認知機能障害(もの忘れなど)は認知症に必ず出る症状であるのに対し、行動・心理症状は認知症の人誰にも必ず現れるわけではありません。ある人には一部の症状が強く認められますが、他の人では全くないこともあります。6~9割の認知症の人が経過のいつかの時期で経験し、人によりどれが主な症状かは違います。

行動・心理症状は体調、痛みや不快感、薬の副作用、心理社会的要因、環境などが影響するので、医療従事者や関係者はこれらを一つ一つ根気よく改善していく必要があります。認知機能障害の程度、遺伝、性格、介護者との関係など多くの要因も複雑に絡み合っています。

行動異常として徘徊、暴力・暴言、嗜好の変化、食行動の異常(異食、不食)、失禁・不潔行為、日内リズムの変化(不眠、昼夜逆転)、多動、無言無動が現れます。心理症状として抑うつ、自発性低下(アパシー)、不安・焦り(焦燥)・不穏・不機嫌、幻覚、不眠(睡眠障害)、妄想などが起こります。

例えば、

●妄想:あり得ない思い(物を盗まれた)

●幻覚:現実にないものが見えると言う

●不穏:いらいらして落ち着かない

●抑うつ:落ち込んで元気がない、引きこもり、意欲を失う

●徘徊・多動:あてもなく歩き回る。何か探したり、居心地が悪くなると、ウロウロする。歩いて外出し、見当識障害のため家に帰れない

●異食:食べられないものでも口に入れる

●介護拒否:入浴や着替えなどの介護を嫌がる

●暴力・暴言:納得がいかないと大声を出したり、手を挙げる、物を壊したり、壁を蹴る