戸籍請求のコツ

現在の戸籍は電子化されているので、戸籍を見たことがない人でも、見れば内容を把握することができるような配慮がされています。

しかし、電子化される前の戸籍は手書きで作成されています。手書きの戸籍は、内容もさることながら、そのときに戸籍を書いた人の文字の癖などもあり、解読が非常に難解な場合もあります。

そのようなときは、戸籍を取得した戸籍主管課の窓口で読み方について尋ねてみるのもよいでしょう。また、戸籍の証明書には、戸籍謄本・抄本、除籍謄本・抄本、改製原戸籍等の様々な種類があります。

どの証明書に何の内容が含まれているか分かりにくいかもしれませんが、各市区町村役場窓口で取得する際は「相続手続きで出生から死亡までの戸籍謄本が必要」と伝えれば十分でしょう。

法定相続情報証明制度

(1)法定相続情報証明制度とは

戸籍・住民票等の取得が終わったら、手続き先の機関に取得した戸籍・住民票の束を提出し、相続関係を証明する必要があります。

この際、手続きをする機関ごとにこの戸籍や住民票の束を提出しなければなりません。また、多くの機関では一度提出した戸籍・住民票の束を返してくれますが、提出した原本を返してくれない機関もあります。返してもらえない場合には、もう一度すべての書類を取得し直さなければならず、相続人にとって大きな負担となっていました。このことを解消するために、平成29年5月29日から「法定相続情報証明制度」が始まりました。

これは、集めた戸籍・住民票の束と「法定相続情報一覧図」という書類を登記所(法務局)に提出することで、この法定相続情報一覧図を相続関係の証明書類として発行してもらうという制度です。この制度では登記所(法務局)に提出した戸籍・住民票の束は原本を返してもらえる扱いになっており、この一覧図の写しに登記官が認証文を付したものを、必要な通数、必要な回数だけ請求することができます。

登記所(法務局)に納める発行手数料は現在のところは無料となっています。ただし、この制度を利用するため最初に提出する法定相続情報一覧図は、登記所は作成してくれませんので自分で作成することになります。自分で作成するのが困難な場合は、行政書士・司法書士等の専門家に依頼することも可能です。この制度の詳細については法務省のホームページ等で確認することができます。

ワンポイント 法定相続情報一覧図に未対応の場合

手続き先の機関によっては、法定相続情報一覧図に対応していないということもあり得ます。その場合は、従来どおりに戸籍謄本・住民票の原本の提出をすることになるでしょう。

相談する専門家

・行政書士

・司法書士 等

(2)法定相続情報一覧図の見本

〔法定相続情報一覧図(見本)〕
※本記事は、2021年4月刊行の書籍『相続について知りたいことが全部見つかる本』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。