戸籍謄本以外の相続手続きに必要になることがある書類

(1)亡くなった人の「住民票の除票」または「戸籍の附票」

手続き先の機関によっては、個人を氏名・住所のみで特定している場合もあります。その場合には、亡くなった人の住所等を証明する書類の提出を求められることがあります。

というのも、戸籍には住所は記載されないため戸籍謄本だけでは個人を特定できないと考える場合があるからです。その際は、「本籍地の記載がされた住民票の除票」や「戸籍の附票」を提出することになります。

どちらも住所を証明することができる書類で、各市区町村役場の住民主管課に請求して取得します。住民票の除票と戸籍の附票では請求する市区町村が異なります。

請求先は以下のとおりです。

住民票の除票→住所地の市区町村役場

戸籍の附票→本籍地の市区町村役場

また、住民票の除票を取得する際は、必ず、本籍地の記載のあるものを取得するようにしてください。取得請求の申請時には、どの市区町村の申請書にも本籍地の記載を希望する旨のチェック欄等があるので注意しましょう。

(2)各相続人の印鑑登録証明書

相続による手続きの際には、様々な書類の提出が求められますが、その中で、各相続人の実印による押印がある書類(遺産分割協議書・相続届等)の提出を求められることになるでしょう。

実印とは、自分の住所地の市区町村に登録をした印鑑のことです。そしてその登録がされている印鑑の印影を証明する書類のことを市区町村が発行する「印鑑登録証明書」といいます。

登録をしていなければ、どんなに立派な印鑑もただの認印のままです。もちろん、印鑑登録証明書は住民票や戸籍謄本といった書類と異なり、印鑑登録をしていなければ発行してもらうことはできません。

まだ印鑑登録をしていない場合や実印をなくしてしまった場合等は、住所地の市区町村役場で印鑑登録を行いましょう。印鑑登録証明書については、郵送で請求することはできません。

自分で取得することが困難な場合は、家族等が代理人として直接窓口に行けば取得が可能です。ただし、その場合は委任状等の提出を求められる場合もあるので、あらかじめ各役場に電話等をして必要な持物について確認しましょう。

■ワンポイント 印鑑登録がない場合

日本では印鑑登録は住所地の市区町村役場に登録します。では、海外に住所がある人の場合はどうなるのでしょうか。その場合は、日本で印鑑登録証明書を取得することはできません。その代わりに、サイン証明(署名証明)という証明書を取得することになります。

サイン証明は海外に住所がある人に対して日本の外務省が発行する証明書のひとつですが、印鑑登録証明書のように1種類しかないというわけではありません。まずは、提出先の機関にどのようなサイン証明が必要なのか事前に確認しましょう。

(3)各相続人の本籍地の記載のある住民票

手続き先の機関によっては、各相続人の本籍地が記載された住民票の提出を求められることもあります。戸籍には住所の記載がなく、印鑑登録証明書には本籍地の記載がないので、戸籍と住民票だけでは、住所地と本籍地のつながりを十分に確認することができないからです。

その場合、戸籍の附票でも本籍地と住所地が確認できるので、戸籍の附票を請求する方法でも問題はないでしょう。取得の際は、取得請求する際の申請書の本籍地記載のチェック漏れには注意しましょう。また、住民票は定額小為替等で手数料を納め、郵送時に定額小為替等を同封する方法により、郵送による取得も可能な扱いになっています。