最後のミッション

メイン通りの裏手にその店はあった。

店員の話だと、従業員全員が外国人経営主の顔を見たことはなく、高給でスカウトされた支配人とはメールのやり取りで営業が行われていて、西洋式の内装と、テーブルで供される高級料理の他、輸入野菜と果物がバイキング形式の食べ放題であるのが目新しく、高額にもかかわらず大繁盛なのだそうだ。

従業員の待遇も良いが、ただし、売上金をねこばばしたりすると、その店員は翌日から姿を見せなくなる。

衛生面や接客態度など細かく指示があるので、隠しカメラがあるのか、それともどこかで監視しているのか──不思議な恐怖感で、気が抜けないそうだ。

衛生局のチェックも問題なく、経営主の呼び出しもないから、従業員の面通しもない。

ヨンスとヘンリクは、何かにおうものを感じた。

覆面経営者が監視する手段として、常連客を装って探りを入れるのはどうだろうか。食事も接客も直接なので間違いがない。

ヨンスはその店の常連客の洗い出しを始めた。繁盛しているとはいえ、客の心理は浮気性であるから、そう多くはないはずである。

監視カメラの分析で数組を割り出した。さらに、ほぼ毎日の客が一人と、毎週3回の三人組に絞られた。