仕事の報酬

仕事の報酬は何かを説明しましょう。

賃金以外で何があるのでしょうか。多摩大学大学院の田坂広志名誉教授(以下、田坂氏と記します)は、著書『仕事の思想』の中で、仕事の報酬は、能力、仕事、成長の三つであると述べています。

田坂氏は、仕事をすることを山登りに喩えて、一番の高みは、決して失われることがない成長であると言明しています。

仕事の報酬は、人格的成長である初めは、慣れない仕事でも仕事のスキルやノウハウを身につけていくことによって、仕事を全うすることができるようになります。仕事を通じて創意工夫をすることで、業務遂行処理能力は高まります。

できないことができるようになることは喜びです。これが、「仕事の報酬は能力」ということです。

次に、仕事の成果が出てくると社内からも認められて難易度の高い仕事をする機会に恵まれたり、自分のしたい仕事もできるようになります。

例えば、重要な社内プロジェクトに抜擢されたりします。責任の度合いも高まりますが、やりがいも感じるようになります。これが、「仕事の報酬は仕事」ということです。

この仕事は、最終的には自分の天職だと自覚することが、ゴールになります。このように、山を登っていくと最後に成長という高みにたどり着きます。

成長した自分の姿をイメージしながら日々一生懸命に仕事をしたり、新たな仕事に挑戦することは、成長の糧になります。これが、「仕事の報酬は成長」ということです。特に、人間としての成長実感(人格的な成長)を得ることができます。

例えば、仕事を通じて人間関係に揉まれることで、顧客や仕事仲間の心の機微が良くわかるようになります。

顧客のちょっとした言動やしぐさの変化をみて、その顧客が何を欲しているのか、どんな気持ちなのかが手に取るようにわかるようになります。

※本記事は、2020年2月刊行の書籍『もし、アドラーが「しゅうかつ」をしたら』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。