学問の問題点

共同体(人間社会)からの“自立”とは、これは「人間→人」であり、人と自然の関係は一体のままであったのですが、明治以降の近代化は「自然(神)→個人(自我)」であり、“自我”という固い殻に閉じこもり自然との関係は断絶となったのです。

その関係を図示します(図1)。自然と人間が分離することを通して人間が自我を獲得できたことにより、西欧の近代科学(自然科学・社会科学)を手に入れることができたのです。

(図1)

c.近世の日本文明と西欧文明の違いは、(表1)のようになっていたのです。

(表1)

その結果、西欧文明では「言葉は神との契約のためにあり」日本文明では「言葉は人と人とが感動や考えを共有する」ためにあったのです。

主体と客体が分離していた西欧文明は“形式知”の世界であるのに対し、主体と客体が融合していた日本文明は“実践知”“暗黙知”の世界であったのです(図2)。

(図2)

ここで押さえておきたいのは、近代科学の学問は“形式知”の世界であるということです。

現在の知的閉塞状況は“形式知”の学問が限界にきているということなのです。