会社までは自転車で通勤しているが、担当地区には地下鉄で移動することになっている。幸い担当地区の野江内代駅は、自宅がある天六から自転車で15分ほどのところだ。

僕は勤務中に家に戻ったことがバレないように、野江内代駅に自転車を置いておき、これを使って昼以降家に戻っていた。15時までトレードの練習をし、市場が閉じたらまた自転車で野江内代駅に戻り、そこから地下鉄で会社に帰った。

3カ月ほど練習を積み重ねると何とか勘を取り戻すことができ、値動きの流れが掴めるようになった。これなら1日3万円くらいは稼げそうだ。これで信用取引の規制が緩和されて同日に何回転も取引ができるようになれば……やっていける!

目標が決まればすぐに動く。目標に向かって全力で突っ走る!

このスタイルで今まで僕は生きてきた。それがどんな目標であっても。大学受験の頃は建築科に入って図面ケースを肩に掛けるのが目標だったし、就活ではディーリング部に入り、定時で帰って遊びもしっかり楽しむことが目的だった。

投資戦略室で理不尽なイジメ地獄を経験したときは、そのイジメから抜け出したい一心で営業成績を上げてきた。だが、そのためには自分を信頼してくれるお客様を時に欺く必要があり、それは心から楽しめる仕事ではなかった。

今の僕が心から楽しめる生活を得るためには、デイトレーダーになる!

この目標、これしかない! やっとそう決心したのに、異動なんて!!

※本記事は、2021年4月刊行の書籍『よそ者経営』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。