ヨンスとヘンリクは上海警察の署長に挨拶と協力のお願いに行った。地元の暴力団に探りを入れても有力な手がかりがないものの、当地に潜伏しているのは都合のよい何かがあるからだと思うのでそれが気になる、と言いながら、全面的な協力を約束してくれた。

警察にも暴力団にも怪しまれないように身を隠すにはどのような手段があるのだろうか。ボルトらしい手慣れた化け方は何か。

インチキ化粧品や心霊商売では派手すぎる。幼少時から目にしてきたレストランの経営者はどうだろうか。他に突破口がないからやってみますかと、ヘンリクは気乗りのしない返事をする。

衛生局で、外国人が経営主でここ数年のうちに開店した店を調べた。ボルトは派手好みの性格だから、同業者と違う手法で客寄せをするのではないか。

登録された中で、一等地にある高級料理店でにわかに成功している店を探してみる。数軒の目星がついた。

二人で手分けして毎日レストラン通いを続け、なじみの店員さんをつくってチップを渡しながら、それとなく探りを入れる。

※本記事は、2021年2月刊行の書籍『細孔の先 ―文庫版―』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。