しかし首都圏直下型地震などは明日にも発生するかも知れず、島嶼(とうしょ)部を除く東京については震度6以上のものが大正時代の関東大地震以来100年近く起きていないのが不気味である。

自然災害に対しては、日本列島の位置という自然から与えられた宿命とでもいうべきものがあるが、日本ではそれをさらに大きくしているものがある。

それは危険なところに多くの人が住んでいることであり、そのなかでも東京一極集中が過度になっていることである。もちろん誰もが好んで危険地域に住んでいるのではなく、そういうところに住まざるを得ない理由がさまざまあったし、また一極集中にならざるを得ない理由もさまざまあった。

この問題は以前から多く指摘されており、是正のための多くのアイデアはあるもののなかなか進まない。それどころかいまだに東京都の人口が増え続けている。

一方で日本の人口減少が始まり、それが加速化し、地方都市や山間、離島などは急速な人口減が進んでいる。そういうところに東京の人を移せば良いではないかと誰でも考えるが、それが現実には進まない。

でも自然災害による危機が迫ってくるなか、そういつまでも手を拱(こまね)いているわけには行かない。こういうことは常識にとらわれない、思い切った、とんでもない発想が必要である。

そのような発想から、東京の江東5区については全面的な移住と跡地の遊水地化を、大河川流域の危険地域も同様の移住を、土砂災害対応として広島市には都市規模の半減化を提案するとともに、地震の影響を少しでも減ずるための東京の一極集中是正、そのための大企業の本社移転を提案する。

※本記事は、2021年2月刊行の書籍『自然災害と大移住』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。