「俺の性格からしたら、それを期待するのはちょっと無理やで。ボチボチと茂津先生に変化球を習うわ」

「へえ~、変化球と言うなんて宗にすれば珍しいじゃねえか、上できだぜ。もうちょっと修行すりゃ、ましな冗談が言えるようになるぜ。教えてやるよ。宗のことだから、授業料は要らねえよ」

「何を言うんや、このオッサン」

「オッサンとはなんだよ。さっきも別当にも言われたけどさ」

宗が、

「当たってるだけに腹がたつやろ、茂津」

と言うと、3人は声を出して笑い出した。

そうしているところに、コーヒーが届いた。勉は、一口飲むと2人を眺め、この3人で飲むコーヒーは、前よりも一層うまいと感じるのだった。

取り留めのない話でダベっていると、陽は西に傾き始めた。コーヒーショップの窓から陽が差し込み、白いレースのカーテンを紅く染めた。

勉は今日という日に満足した。それからしばらくすると、期末考査が始まったが、3人の結果は中間考査とあまり変わらなかった。

それにしても、と勉は思う。茂津の奴は大して勉強もしていないようなのに、なんで俺の成績と変わらんのやと。

※本記事は、2021年3月刊行の書籍『海が見える』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。