一方で、業界の常識を破壊できるようなムーブメントも行われればなお良いでしょう。ネットの発達によりユーザーの考え方も変わりました。まして、新型コロナウイルスや地球温暖化がユーザーの考え方や趣向を急速に変えていきます。GAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)を例にあげるまでもなく、いままでにないような商品に対する付加価値の重要性はいまの時代の共通認識になっていると思います。

しかし、まずは自分の友だちを明確にして、何ができるかを追求して、マップ上の他社のいない位置に自社を位置させる必要性が高まります。

ここでもし、市場のシェア率を気にする方がいるのなら、それは大手企業が考えることであり、まったく重要なことではありません。業界のシェア率などは、範囲の設定の仕方しだいでどうにでも評価できます。市町村単位・都道府県単位・国単位・世界単位とその範囲で結果がまったく異なります。

コカ・コーラ社がコーラでは1位のシェアですが、飲料水というシェアを考えると可能性は高まります。そんな不明確な評価に対応するのではなく、「この仕事はあそこしかできない」と思われることのほうがより重要であり、現在のインターネットの普及や利用率、そして流通業の発達を考えれば、ターゲットの抱える価値観を狭め、希少性を高め、それらを利用することによってビジネスモデル自体も変更できるようになるのです。

そして、ポジショニング・マップをあらゆる軸で書いていくと、業界の常識を覆すアイデアやサービス、つまり新しいイノベーション策が見つかります。

マーケティングとは、商品開発から始めることを忘れないでください。ここをスキップすると、どんなに優れたプロモーションを行っても望む結果は得られません。もちろん、優れた商品が売れるわけではありません。優れた売り方が必要になります。

もし、自社の商品が優れているのに「思うように売れない」と悩んでいるなら、もう一度ポジショニング・マップを書き直してください。そして、その商品が提供するベネフィットをアピールしてください。商品の機能スペックではなく、利用方法とそれによるベネフィットである価値をアピールするので
す。

※本記事は、2021年3月刊行の書籍『惹き寄せるチカラ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。